演習問題
航空機船舶宇宙鉄道・車両構造物熱機関と流体機械加工と処理水の流れと沈殿生物科学地球科学火災と燃焼微粒子の拡散鉄鋼その他
 以下の問題については、全問相似則が確認されているわけではないが、相似則が成り立ち模型実験が可能であることが予想される。江守先生が1973年より1988年まで、成蹊大学機械工学科の講義「模型実験論」で取り上げた試験問題から再整理した問題を中心にまとめた。挿絵は当時の秘書、水上さんによる。


1. 航空機
1.  本物の飛行機のスケールモデルを作り、本物と同じように飛ばしたい。スケールモデルに搭載すべきエンジンは模型の寸法に応じてどの位小さくすればよいか。また模型の飛翔速度は原型に比べてどの位小さくなることが期待されるか。(エンジン出力は、エンジン容積に比例するものとする)
2.   模型飛行機を作って飛ばす場合、速度をある程度速くするかないしは重量を軽くしないと落下してしまう。実物の1100の飛行機を実際の1100の速度で飛ばすためには、模型飛行機の重量は実物の何分の一にしなければならないか。 
3.   模型飛行機を作って本物と同じように飛ばせたい。模型飛行機の重さと速度はどのように設定すればよいか。本物がプロペラ機であったならば、模型のプロペラの回転数は本物に対しどのような速さで回転させればよいか。
4.   大小2つの相似な飛行機がある。両方の飛行機を同じ速度で飛翔させるためには、搭載するエンジンの馬力は2つの飛行機でどれだけ異なるか。
5.   人力飛行機の模型実験を行う場合に模型飛行機の重さおよび搭載する模型エンジンの馬力はどのようにすればよいか。また高速カメラで運動を撮影する場合、カメラのスピードはどのように加減するか。


2. 船舶
1.   船のプロペラを回転するために必要なトルクと馬力は羽根の直径が大きくなる程、また回転数が上がる程、大きくなる。幾何学的に相似であるプロペラについて推進力および必要トルクと馬力を羽根の外径と回転数の関係として表せ。
2.   自動車の衝突実験を模型で行うのと同様の理由で船の衝突を模型で行うことが考えられる。模型船の重量、衝突速度はどのようにすればよいか。またムービーカメラで模型の衝突を撮影し原型と同じように映写するにはカメラのスピードをどのように加減すればよいか。
3.   大小2つの船が衝突して両船とも沈没した。どちらの船がどのくらい早く沈むか。但し2つの船は相似とする。

3. 宇宙
1.   月表面の重力加速度は地球の16である。月に軟着陸するべき宇宙船を予め地球上でテストする時に、どの様な落下速度でテストを行ったら現象が同じになるか。またその時のロケットから噴射するガスの量は実際の月表面着陸の場合の何倍となるか。
2.   糸におもりを吊した簡単な振子を月に持ってゆくと、地球上と異なった周期となる。月の重力加速度を地球の16として、振子の周期がどのくらい変わるかを求めよ。 一般に、解析では振幅が非常に小さいと仮定し、簡単な微分方程式を用いて周期を求めるが、実際には振子の周期は振幅によって異なる。この問題では振幅がかなり大きい場合も含めることにする。(振幅の小さい時は振子の運動は近似的に正弦波だが、大きくなると正弦波状とはならず、したがって周期は振幅によって変わることに注意)
 3.   月面探険車を地球上でテストし、その運動があたかも月面上で運動しているように観察するにはどのようにテストすればよいか。また、その運動を映画で記録し、月面上で運転しているように見るには、撮影スピードをどのように加減すればよいか。ただし月の引力は地球の16である。
4. 鉄道、車両
1.   鉄道車両の走行性能(横ぶれ、振動数)に関する相似則を求めよ。模型を製作する場合に、車両重量、慣性二次モーメント、車両を支えるばね定数、走行速度は原型に比べてどのように加減したらよいか。また模型で測定した振動数を何倍すれば原型の振動数が得られるか。
 2.   小型自動車の性能を測定して、大型車の性能を推定せんとする場合の相似則を求め、小型車と大型車の速度、走行抵抗、および馬力に関する相似比を求めよ。
3.   濡れた舗装道路で車が走ると、タイヤは路面にたまった水を押しのけながら回転する。あまり高速で走るとタイヤは路面との接触を全く失い、いわゆるハイドロプレーニングを起こす。タイヤ径とタイヤ荷重が、ハイドロプレーニングを起こす危険速度にどのような影響を及ぼすかについて説明せよ。
5.   自動車が高速で縁石などに乗り上げると、驚く程とび上がり、高速道路などで中央分離帯に張られたロープを越えて対向車線にとび込む事故がしばしば起こる。車速、衝突角、衝突速度などが飛翔高さとどのように関係しているか調べるための模型実験を行いたい。模型車の高さ、ばね定数はどのように設定し、どのような衝突速度で模型実験をしたらよいか。
6.   タイヤ駆動式パワーショベルの高速化にともない、低速では問題にならなかった走行安全性(特にものに乗り上げたときなどの)がクローズアップされてきているので模型実験を行う。模型の重量、サスペンションのばね定数、タイヤの特性、走行速度はどのように加減するか。タイヤ特性については、どのような性能に注目するかを指摘せよ。
7.   二階建バスは重心が高いから横転しやすい。模型の車を作って横転の実験をする場合に、模型バスの重量、サスペンションのばね定数およびタイヤの硬さはどのように加減すればよいか。また模型の走行速度およびハンドルを切るタイミングはどのようにして実験すればよいか。
8.   液体を運ぶタンクローリー車はタンクの中で液体がスロッシングを起こし、横転しやすい。模型の車を作って横転の実験をする場合に、模型トラックの重量、走行速度、ハンドルの切り返しタイミングは実物に比してどのように加減すればよいか。答は現象の物理的解釈、支配的物理原則、相似則を含まなくてはならない。
5. 構造物
1.   建造物の地震に対する特性を調べるために模型実験をしたい。どのように実験すべきか。実際の地震における加速度の時間的変化が記録されている場合に、模型実験におけるそれと等価な加速度変化はどのようなものか。また模型構造物の重さは原型に比べてどの位になるか。
2.   建造物の地震に対する特性を調べるために模型実験をする。模型における土壌は原型のものと同じでよいか。また原型で測定された加速度の時間の関係を原型に換算するにはどのようにしたらよいか。
3.   長い吊り橋の支柱を支える大きなコンクリートブロックをケーソンという。吊り橋の設計にあたって一番心配されるのは、地震の際にケーソンが揺れ、橋全体がひどい振動を起こすことである。下半分が地中に埋まったケーソンの振動実験をしたいと思うが、どのような材質を模型の土として用い、振動数や時間はどのようにアジャストすればよいか。
4.   鉄塔は強い横風によって振動を起こすが、安全性を確認するために模型実験が必要である。振動は、鉄塔の背後に交互に生ずる、いわゆるカルマン渦が原因であるが、鉄塔が高いと構造物と同様、土地の弾性も無視するわけにはいかないかも知れない。模型実験における風速を定め、測定された振動数を原型に直すにはどのようにすればよいか。
5.   図に示したような吊り形住居を設計する場合に、まず110程度の模型を作って実験を行う。図のように、住居は1本の鉄筋コンクリート支柱にばねを介して吊られている。この住居は風が吹くと揺れるが、振動に関する相似則を求めよ。模型の支柱は鉄筋コンクリートではなく、単なる金属の棒で代用したい。その直径、模型住宅の重さ、吊りばね定数などは原型に比してどのように縮小すればよいか。

6. 熱機関と流体機械
1.   ディーゼル機関におけるシリンダー内への燃料の噴射、殺虫剤のスプレーなど、液体の微粒化に関する相似則を求めよ。具体的には、大小2つの穴から同じ液体に圧力をかけて噴霧させるが、必要な圧力は穴の大きさによりどのようにすれば噴霧状態が相似になるか。また、そのようにして噴霧させたとき、粒子の速度は穴の大きさとどのような関係があるか。
2.   攪拌槽の性能を調べるための模型実験をしたい。模型攪拌機の回転数およびそれに加わるトルクは原型と比べてどのように決めればよいか。また、模型攪拌槽で満足できる一様さに混合するまでの時間を測定したとすると、それから原型における時間を予測するにはどのようにしたら良いか。
3.   水ポンプの特性は一定回転数における吐出量Qと吐出圧力Pの関係として表される。2つ以上の相似ポンプの特性を1つの特性曲線で表すにはPQの代わりにどのようなパラメータを用いればよいか。
4.   扇風機の模型実験をする場合の相似則を求め、原型と模型の1分間あたりの回転数(rpm)、トルク、馬力、風量に関する相似比を求めよ。
5.   電気洗濯機に付いているような大小2コの幾何学的に相似な脱水機がある。脱水に関する相似則を求め、どのような回転数で運転すれば現象が相似になるかを述べよ。また定常回転数になるまでの時間と原動機に要求されるトルクに関する相似比を求めよ。
6.   撹拌槽の性能を調べるための模型実験をしたい。模型撹拌機の回転数およびそれに加わるトルクは、原型に比してどのように決めればよいか。また、模型撹拌槽で満足できる一様さに混合するまでの時間を測定したとすると、それから原型における時間を予測するにはどのようにしたらよいか。
7.   反応器または管路内の流れの混合は、多くのプロセス操作の基本となる問題である。図のように高温ガスと比較的低温のガスとを混合して適当な温度のガスを得る場合に、2つのガスが速く混合しないと局部的に混合器のある特定箇所が高温ガスにさらされ、好ましくない結果を生ずる。混合器の設計資料を得るために模型実験をしたいが、相似則を求めよ。
7. 加工と処理
1.   宇宙飛行船に微小な隕石が当たると穴があく恐れがある。このような現象の基本的な実験として図のように円錐状の硬い飛翔物体を試験片の表面に打ち込み、その打ち込み量yを調べた。衝突速度が速くなるほど打ち込み量は大きくなるが、その関係はどのようになることが期待できるか。ただし、変形は試験片にのみ起こるものとする。
2.   パッキングが充分であるかどうかを確かめるために模型による落下テストを行う。模型の落下高さは原型に比してどのように定めればよいか。また落下時に測定した模型の加速度と時間の関係を原型に換算するにはどのようにしたらよいか。また、模型振動試験を行う場合、振幅と振動数は原型振動試験のものと同じでよいか。
3.   機械的フリップフラップは図のようなもので、曲げた板ばねに加わる縦方向の力がある一定値より大きくなると、点線で示した位置に急激に移動する。すなわち、いずれか一つの位置しか取り得ない機構である。模型実験はどのようにしたらよいか。位置が変わるに要する時間を模型で測定し、それから原型のものを推測するにはどうすれば良いか。模型と原型で加える力の比はどの位か。原型は普通板ばねでできているが、模型で丸棒を用いる事は可能か。
5.   海底ボーリングの実験を模型を用いて行う場合、模型の回転数は原型に対してどのように決めればよいか。また模型につけるべきモーターの馬力は原型に比べてどの位の大きさにすればよいか。
6.   金型を用いて薄い金属板を成形する場合の圧縮力、圧縮速度、および運転に必要な馬力に関する相似則を求めよ。
8.   図のように上端を支点として回転する金属製の棒がある。棒の下端を持って支点の真上に静止させそっと離すと棒は次第に加速し、最下部にきたときに、棒に直角に突き出た木製のピンを折る。大小2つの棒を作ってそれぞれ相似な木製ピンを折った後、反対側に棒がはね上がる角度が等しくなるようにするには、棒の重さをどのように加減すればよいか。
9.   図のように、必ずしも円形ではない板が高速回転をしている。ある速度に達すると、板は遠心力により破壊するが、そのような高速実験をすることは容易ではないので、弱い材料を使って低速でその破壊状況を調べることが望ましい。その場合、回転数は実物に比してどのように加減すればよいか。
8. 水の流れと沈殿
1.   防波堤にある砂の堆積や消波効果に関する実験を模型で行うにはどのようにしたら良いか。波の速度は模型と実物でどのように違うか。また、防波堤の単位長さ当たりに働く力の相似比を求めよ。
2.   漁網は潮流によって色々に形を変えるが、最も望ましい設計をする資料を得るために模型実験を行う。流れが変わると網の形も変わるが、模型で観測した時間的変化から原型の物を予測するにはどのようにしたらよいか。また原型の網の糸そのものはかなり細いから、模型に縮小すると糸そのものを作ることが難しい。原型の糸を用い、糸の数を減らして模型を作ることはできないだろうか。模型の網を引く力は原型に比べどの位になるか。
3.   浄化槽では浮遊物が小さくなるほど、沈降に要する時間が長くなるから、槽を大きくしなければならない。ある一定の高さを沈降する時間と浮遊物の大きさとはどのような関係にあるか。(浮遊物がごく小さい場合とかなり大きい場合に分けて考えよ。)
9. 生物科学
1.   ある化学薬品の人間に対する毒性を調べるために、動物実験を行うが、動物実験で用いた薬品の量を人間に換算するにはどうしたらよいか。また、動物が1週間で死亡したら、それは人間にとって何週間に相当するか。ただし、人間を含む動物の新陳代謝にはルプナーの法則があり、当位時間当たりの新陳代謝量は動物の体表面積に比例する。 代表的細胞の毒性に対する許容値も材料の物性値の一つと考えれば、人間と動物で等しい。
2.  水族館で魚に餌を与える場合に、魚の体重と餌の量はどのような関係にしたら合理的であるか、但しどの魚も1日に泳ぐ距離は等しいとし、エネルギーはすべて泳ぐために消費されると考える。
3.   競走では小さい人と大きい人とどちらが有利か。坂を駆け上がる場合と、水泳について考えよ。体格は相似と仮定し、速度と身長の関係を求めよ。
4.   哺乳類の新陳代謝の総エネルギーは、動物の体重に比例する。一方、新陳代謝は、発汗にしても栄養の摂取にしてもすべて体の表面で行われるから、単位時間当たりの新陳代謝エネルギーは動物の表面積に比例する。これらのことから哺乳類が生まれて子供ができるまでの時間と体重との関係を求めよ。
10. 地球科学
1.  赤道上で飛翔物体を真北に向けて発射させると、コリオリの力によって、物体は真北に向かって飛翔せず、軌道が曲がることはよく知られている。他の惑星、たとえば木星などの相似な位置から飛翔物体を発射し、その軌道が地球上のものと相似になるようにするにはどのようにすればよいか。木星の直径も回転角速度も地球とは異なることに注意せよ。
11. 火災と燃焼
1.   火災におけるいわゆる“飛び火”は炎からの放射熱で、物体の温度が上昇して自然発火するという現象である。火災の模型実験において飛び火するまでの時間を測定したが、それから原型における時間を求めるにはどのようにすればよいか。
2.   露店で焼きそばを作っているのを見ると、1度にたくさん作るには、かなり時間をかけている。1人前作る時間と5人前作る時間はどのように違うか。(5倍作ったからといって、焼きそばの直径が5倍のものを作っているのではなく、同じ焼きそばを作っていることに注意)
3.   石油ストーブで部屋を暖める場合の模型実験では、ストーブから単位時間に出る熱量(電気ストーブであればワット数)をどのように加減すればよいか。最初、冷たい部屋でストーブをつけると次第に温度が上昇するが、模型の温度上昇は実物に比してどのようになるか。模型の壁に原型と同じ材料を使うのであれば、厚さはどのくらいにすればよいか
 また部屋に換気扇がついている場合には、換気扇による風速および風量はどのように加減したら良いか。
4.   部屋の面積に対してかなり大きな部分を占める熱源が床に置かれている場合の空気調和の実験を模型により行いたい。模型における発生熱量、風速、および空調をONしてからある温度になるまでの時間に関する相似則を求めよ。
5.   同じやかんで2倍の水を湧かすのにはどれだけ時間が余計にかかるか。やかんは円筒形で、同筒の底の部分が加熱されると仮定せよ。
12. 微粒子の拡散
1.   煙突から出る煙は図のように拡散する。この状況を風洞で実験するにはどのようにしたら良いか。特に風洞実験の風の速度、煙突から出る煙の温度、出た煙がある地点に達する時間に関する相似則を求めよ。
2.   煙突から出る煤は図のように拡散し地上に落下する。大きい煤は比較的近くへ落ち、小さい煤は風によって遠くまで運ばれる。落ちる距離と粒子径の関係を求めよ。
3.   電気掃除機の相似模型を作ってごみを吸引する実験をする場合に、風速は原型に対してどのように加減すればよいか。また模型機につけるべきモーターの馬力は原型に比べてどの位の大きさにすればよいか。
4.   放射能によって汚染されたビキニ島では、復元作業が行われている。原爆実験を行うと、放射能を含んだ灰が降るが、細かい灰は風によってかなり遠くまで運ばれる。それは、灰が小さいと落下速度が小さくなるからである。灰の粒子径と、爆発地点から地上に落下するまでの時間との関係を求めよ。
5.   セメントなどのようにごく細かい粒体を輸送するには、パイプの中に空気を流し、その中にセメントの粉を吹き込んで行う。模型実験をするにはどのような粉体を使えばよいか。また空気流れの速度は原型に比べてどのように加減すればよいか。
6.   雪の多い所は、冬になると高速道路に雪がたまるので、雪の防護柵を設置する。どのような防護柵をどこに配置すれば一番効果的かを調べるための模型実験を行う。相似則を求めよ。模型の雪の大きさは原型に比べてどのようにすればよいか。また模型の風速は原型に比べてどのように加減すればよいか。
7.   火山が爆発したとき、火山灰はどのくらい遠くまで流れるか。模型実験をする場合の相似則を求めよ。本物の火山灰に比べて模型の粉の粒子はどのくらいの大きさにするか、また模型の空気の流れは本物に比べてどのように加減すればよいか。
13. 製鐵
 1.   溶鉱炉に鉄鉱石やコークスを充填する場合に、粒子の大きさがなかなか均一にならないので、熱風を送って鉄を溶かす効率が悪くなる。溶鉱炉における充填と送風プロセスを模型によって実験するにはどのようにしたらよいか。特に模型実験における材料および粒子径はどのように選べばよいか。
2.   溶けた鉄の炭素分を減らして鋼を作るには、溶鉄に純酸素を上から吹きつける。このとき溶けた鉄がとび散ってロスになるが、そのとび散り方を模型実験によって調べたい。模型では溶鉄を使うわけにはいかないが、どのような液体を使い、どのように実験をしたらよいか。
3.   溶鉱炉の各部の温度を測定するために、断面が20cm×50cm程度のゾンデという測定器を図のように壁から溶鋼炉内に押し込む。溶鋼炉内には鉄鉱石とコークスが充填されているから、押し込むための推力は30トン程度必要となる。ゾンデの形状を変えて、少しでも推力が小さくなるように模型実験をしたい。相似則を求めよ。ただし鉄鉱石は溶けてない状態であると考える。
4.   製鉄用コークスを製造するには、まず原料粉炭をロール成型機で豆炭状に成型する。図に示すように、ロール間のABCD内に挟まれた粉体原料を加圧成型する場合のトルク、馬力、回転数に関する相似則を求めよ。
5.   高炉は出鉄前後に空吹き、生吹きなどと称する出鉄口からの噴煙現象がある。この発塵は高圧の炉内からの吹き出しであるため、出鉄口附近では流速が速く局部的に吸引することが困難である。また炉前に、局部集塵フードを設置することは作業上問題があるので、出鉄口よりかなり離れた部分に垂幕式集塵装置を設置するのが普通である。
 
垂幕式とは、昇降可能な垂れ幕を設置して異常発塵の可能性のある時は降下してフード状にし、上部の吸込口より所定の風量で煙を吸引する。異常発塵のおそれのない時は、垂れ幕をまき上げて鋳床作業上さしつかえないようにする。この吸引風量は、縮尺したモデルを製作し実機を再現するテストを行って、垂れ幕からの漏煙を生じない値をきめることになっている。
 
以下の条件を考察して、高温の炉内からの噴流ガスが垂れ幕フードで受けとめられもれなく吸引される状況を模型で再現させるためには、いかなる相似則を適用すべきか考察し実験の噴出流速を求めよ。
14. その他
1.  水上スキーで浮上するには少なくともある速度が必要で、体重の大きい人程その速度が大きくないと浮上しない。大人と子供が同じスキーをつけた場合と、大人が体の大きさに比例して大きいスキーをつけた場合について最小浮上速度と体重の関係を求めよ。
2.   山での遭難事故が相次いで起きている。模型を使って転落事故を再現し、落下速度や落下時間、落下コースなどを調べたい。それらを模型で測定した後、実際事故のものに換算するにはどのようにしたらよいか。
3.   貨幣のような薄い円板を水に投げ込むと左右に振れながら落下する。円板の大きさが同じで重さが異なる場合と、同じ材質で大きさが異なる場合について、振れの振動数、円板の重さの関係を求めよ。
4.   平らな石やコインを水面に平行に投げると水中に入らないで水面をスキップすることはよく知られており、誰でも1度はそのようなことをして遊んだことがあろう。厚さが同じではあるが大きさの違う2つの丸い石を見つけた。1つの石がうまくスキップした場合、他の石の速度をどのように変えれば同じように成功するか。
5.   図のように糸の一端を固定させ、他端に滑車を通しておもりをつけておく。糸が短いほど、またおもりが大きいほど、糸をはじいたときの振動数は高くなる。おもりの大きさW、糸の長さlと振動数の関係を求めよ。ただし、同じ糸を用いるものとする。

以下続く